二番目でいいから[完]
八尋が断わっても受け入れても、どっちにしろ友達には戻れないと、覚悟していた。
「八尋が、二人いれば良かったのになあ………」
なんて途方もない、願いだろう。
「……卯月」
「それか、私が猫だったら良かったのに。そしたら八尋に抱きついてもキスをしても怒られないし、どれだけ愛を伝えても、八尋には伝わらない……ずーっとバレないで、済んだのにな……っ」
―――――どれくらいの覚悟であなたに思いを伝えたか、あなたは知らないでしょう?
……どうして、綺麗な片思いで終わらせることが出来なかったのだろう。
この人より素敵な人が、早く私の前に現れればいいのに。
どうして、
どうして、
どうして、
どうして、この人なんだろう。
どうして、愛してしまったのだろう。
「……八尋、好きだよ……っ」
ほとんどもう、力の入っていない、弱々しい声が部屋に響いた。
涙は出ていないのに、全身が震えていた。
本気で、猫だったら良かったのにと思った。
座椅子に回っていた八尋の腕がぐっと私の肩にまわって、キスをされた。
自分が堕ちていく感覚を、キスをしながら、スローモーションのように感じていた。
八尋は酷い男だ。
それ以前に、私はもっと酷い女だ。