“おもい”二文字 「好き」
夏休み。


勉強めんどくさーい。家出たくなーい。


これが私の心の叫びだった…。


でも一人で家にいると色々考えてしまう。


それだけは嫌だった。


だからよく勉強道具を持って香織や穂波の家に行ったりしていた。


【勉強会】という名を付けて。…ほとんど遊んでいたけど。


香織と二人でいる時だった。


つい、ポロリと出てしまった。


「好きなのか分かんない…」


香織は一度間を置いてから


「え…?」


と聞き返した。


「分からない…好きの意味が…。別れたいの」


「…何があったの?」


「別に…分かんないだけ」


『分かんないだけ』と言葉を濁らせていた。


どうしてだろう。


言えない。どうして冷めてしまったのか、理由が言えない。


…怜先輩の発言とか…言えない。


多分、友達だから。大切だから、


それ以上に言えない。


だからつい…


抱え込んでしまう。


「≪冷めました≫って送ったら?ハッキリさ。」


「無理だよ…私が告ったのに言いづらい」


「じゃあずっと終わらないじゃんか」


分かってる。


香織が言ってる事が最も正しい事位。


変に期待させちゃいけない事位。


私は、私はいっつも言い訳ばっかりで。


実行しようとしない。


告白の時も穂波に言われて、歩夢にメアド教えてもらって、香織や花先輩に背中を押されて、


やっと伝えた。


きっと私は…


一人じゃ何もできない。


分かっているのに…


自分が一番大事な自分が嫌い。


「…分かってるよ…でも」


「『でも』は禁句!
“相手のために”とか変に期待させる振り方は絶対駄目だって。ググってみたけど」


「…うん」


「付き合って2カ月で別れるのは“もともと相手の事をそんなに知らなかった”“相手が思っている人と違った”“もともとそんなに好きじゃなかった”“好きの意味が違った”だって。いろいろ書いてあるけど?」


「…」


何も言いだせない。


もう8月。


付き合って丁度2カ月。


さっきのほとんどが当てはまっている。


私は…


「駄目だなぁ…」


もう…分かんない。


…って言うのも言い訳。


つくづく自分が嫌いだ。
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