“おもい”二文字 「好き」
放課後。


言われたように残った。


「えーと…教室掃除始めるみたいだよ?」



よくよく考えたら放課後って掃除の時間じゃん!


それに掃除が終わったて人は絶対いるし…。


「そうだな…………じゃぁ廊下来て」


最後の方を小声で言って、廊下に歩き出す。


廊下のあまり使わない方の階段の傍。


人はいない。


…数分経った。


…あの…まだでしょうか?


香織と歩夢と穂波待たせちゃってるんだけど…。


「あのー…」と言おうとした時、


「あっと…いや、えっと…、ま、待って!」


「あ、はい。」


「んぁー!」とか言いながら考え込んでいる様子。


不覚にも【嬉しい】と思ってしまう。


だって私の告白にこんなに悩んでくれるんだもん。


ますます振られたって良い気分だよ…?


そしてまとまったのか、松村さんが話し出す。


「えっとさ…俺、木村のこと嫌いじゃない。…むしろ…話しかけてたくれぇだし…
だから…木村といると楽しいし、おもしれぇし…
…付き合う?」


放課後の廊下。


階段沿いの窓が二人の顔を照らす。


白い光が…赤く火照っている二人の顔を、照らす。



―――――嬉しい。


無理だと思ってた。振られても良いって思ってたし…。


「…はい…」


視界が潤む。


もう最近泣いてばっかりだよ…。


でも最近の涙は嫌いじゃない。


想いを伝えられなくて泣いていたあの時の涙とは違うから。


この涙は――――


「おい、大丈夫か…?」


「うん…大丈夫…っ」


―――嬉し涙だから…。
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