“おもい”二文字 「好き」
放課後。


とうとう振られちゃう…


まだ1日目だってのに…


嫌だ…やだよ…!


「亜華里?」


「あ、い、行く」


そして廊下。


階段沿いの、昨日の場所。


まさかここで振られちゃうのか…。


残酷すぎる…。


やっぱり、中学生の恋なんて…


「亜華里!!」


「はっはい!」


「もう…頼むから話聞いてくれ」


あ、ま、また私…


最低だよ…。


「ご、ごめん…」


「…恥ずいから」


「え?」


「名前、呼ぶの何か恥ずいから…!
一回で返事してくれ、頼むから…っ」


恥ずかしい?


下の名前だから?


「あ、亜華里は普通に俺のこと呼べるから良いけど…
俺はきんちょ―して呼べねぇの!」


「あ、う、うん」


「それに“付き合ってる”んだしさ…
もっと一緒にいてぇし、話してぇ。俺の話とか、聞いて?」


「うん!」


つまりそれは…


私が素っ気なく見えてたって事、だよね…


“付き合ってる”。そう言ってくれた。


あぁ…どうしよう。


すっごい嬉しい。


「今日部活だし、終わったら一緒に帰ろ!」

「…あぁ」


真っ赤な顔を手で押さえてそっぽ向く空汰。


「じゃぁまたな」


「うん!」


そうして美術室に向かった。
< 59 / 63 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop