“おもい”二文字 「好き」
集合時間がとっくに過ぎた。


顧問の先生はもうとっくに来ていて、のんびり先輩達を待っている。


…さっき、


怜先輩を見かけた。


だけど…


「先生、」


「ん?」


「先輩達、来ないんですか?」


「遅れているだけだと思うけどねぇ…」


「そうですか…」



「―――あ、優先輩!…と、怜先輩」


「え!?」


穂波が言う。


どこ…!?


すると奥に見える二つの影。


――――ズキン、と胸が苦しくなる。


そっか…怜先輩、優先輩を迎えに…


そっか…。


「おはようございます!」


苦しい気持ちを呑み込んで、精一杯顔作る。


「…」


あ、安定のスル―…!


怜先輩、いつもよく話してくれるのに挨拶だけはしてくれないんだよなぁ…。


そして地下鉄まで歩く。


特に先生は怒ることなく、注意だけするだけだった。


行き先は動物園。


地下鉄に乗った。


「見て見て~!この画像めっちゃかっこよくない!?」


と、二次元オタク仲間の歩夢や香織と話す。


穂波は「へ~」と聞いているだけだった。



…本当は、怜先輩とも話したかったんだけど…


なんて考えていた。


「ねぇ朱莉、」


「な、何…」


穂波が話し出してきた。


「怜先輩、先生と優先輩と一緒に見たらお母さんとお姉ちゃんと弟みたいじゃない??(笑)」


「ほんとだ、確かに家族みたい(笑)」


なんて眺めていたけど、


本当は「あの中に入りたい」なんて思っていたりもした。

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