泡影の姫
「あれだけ騒いでるんだ。ふつうニュース見てれば分かるだろ」
呆れたような湊の声。
どうやら今日はナンチャラ流星群ってやつが来るらしく、数日前から話題に上っていたらしいが知らないものは知らない。
そもそも普段からニュースを見るような生活をしていない。
そんなわけでほぼ手ぶらに近い状態の私だけど。
「まぁいいよ。別に山に行くわけじゃないし」
そう言った湊だってコンビニの袋以外いつもと変わらない軽装でギターを担いでいた。
「足の調子は?」
「大分いいかな?たぶん今泳いだらまたでこピン喰らう羽目になるけど」
「でこピン、なんだそれ」
そう言って湊は笑うけど。
笑い事ではない。
松永先生のでこピンは殺人級の痛さだ。
「一度湊も松永先生にでこピンしてもらうといい。絶対私のこと笑えなくなるから」
ふてくされるようにつぶやいた私を軽くなだめて、
「じゃあ、まぁチャリは乗れるか。後ろのんなよ」
乗ってきた自転車を指して湊はそういうけれど、荷台のないその自転車の後ろのどこに乗ればいいのか私には見当がつかない。
首をかしげる私を見返して、
「もしや二人乗りしたことない人?」
「……道路交通法違反だからしないだけですっ!!別に二人乗りしてくれる友達がいないとかそんなんじゃないんだからっ」
慌てて誤魔化した私は見事に墓穴を掘った。
穴があったら自分から入っていくので、すかさず埋め立てて欲しい。
そんな私を苦笑しながら。
「道交法違反じゃ仕方ないなぁ。俺も歩くか」
湊はそう言って自転車を押しながら私の隣を歩きはじめた。
呆れたような湊の声。
どうやら今日はナンチャラ流星群ってやつが来るらしく、数日前から話題に上っていたらしいが知らないものは知らない。
そもそも普段からニュースを見るような生活をしていない。
そんなわけでほぼ手ぶらに近い状態の私だけど。
「まぁいいよ。別に山に行くわけじゃないし」
そう言った湊だってコンビニの袋以外いつもと変わらない軽装でギターを担いでいた。
「足の調子は?」
「大分いいかな?たぶん今泳いだらまたでこピン喰らう羽目になるけど」
「でこピン、なんだそれ」
そう言って湊は笑うけど。
笑い事ではない。
松永先生のでこピンは殺人級の痛さだ。
「一度湊も松永先生にでこピンしてもらうといい。絶対私のこと笑えなくなるから」
ふてくされるようにつぶやいた私を軽くなだめて、
「じゃあ、まぁチャリは乗れるか。後ろのんなよ」
乗ってきた自転車を指して湊はそういうけれど、荷台のないその自転車の後ろのどこに乗ればいいのか私には見当がつかない。
首をかしげる私を見返して、
「もしや二人乗りしたことない人?」
「……道路交通法違反だからしないだけですっ!!別に二人乗りしてくれる友達がいないとかそんなんじゃないんだからっ」
慌てて誤魔化した私は見事に墓穴を掘った。
穴があったら自分から入っていくので、すかさず埋め立てて欲しい。
そんな私を苦笑しながら。
「道交法違反じゃ仕方ないなぁ。俺も歩くか」
湊はそう言って自転車を押しながら私の隣を歩きはじめた。