泡影の姫
「どこまで行くの?」

「秋原公園の高台。外灯少なくて暗いから星が良く見えるんだわ、あそこ。今日は結構人多いと思うぞ」

「有名なの?」

「有名って程じゃないけど、まぁ流星群が来るときとかはレジャーシート敷いて一晩中観測する奴がいるくらいにはメジャー」

秋月公園の存在自体は知っているが、そんなところだなんて知らなかった。
小学校の遠足以来行ったことないし。

「湊は多趣味だね」

歌とギターと天体観測。
どれもこれまでの私の人生には関わりのなかったモノばかり。
湊と一緒にいるだけで、知らない世界が勝手に広がっていく。
大事なものが増えていく。
それが、ちょっとうれしい。
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