泡影の姫
「ねぇ、流れ星見えたら湊は一体何を祈るの?」

「一応言っとくけど、三回唱えるとか無理だからな?あと唱える気にもなんないくらい、いっぱい降ってくるよ」

「何それ、ありがたみの欠片もないじゃん」

まだ見たことない流れ星を探して真っ暗な夜を見上げる。

星が一杯で、にぎやかで。

なんだか夜の街みたいで。

「ああ、でも確かに祈る気無くなるね」

静寂が心地いい。

だけど。

「……まだ流れてすらいませんが、瑞希さん!?それはあれか?もう帰りたいっていう俺への当てつけか?」

「意外と湊ネガティブだよね」

私はくすくす湊のことを笑う。

だけど、湊の隣は静寂よりも無関心よりもさらに心地いい。
 
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