泡影の姫
湊は彩愛さんとも、こんな風に星を眺めたんだろうか?

暗闇に手を伸ばしてみる。

届くはずのない光。

流れ星に何を祈っても、きっと私の願いは叶わない。

「見たよ。彩愛とも。まだ中学生だったかな。多分」

「……エスパー?」

不意に上から声が落ちてきた。
私を覗き込む湊と目が合う。

「瑞希、意外と顔に出るタイプだから」

私を覗き込むすぐそこにある湊の頬に手を伸ばす。

触れる。

その顔に彩愛さんに繋がる面影を探すけど、どこにもそんなものはなかった。
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