泡影の姫
「付き合ってた…の?彩愛さんと」
何も考えず飛び出した言葉を反芻してすぐに後悔する。
こちらを向いた湊と目が合う。
「聞きたい?」
ニヤニヤと意地悪く笑う湊。
「湊が言いたくないことは聞かない。……って言ったけどごめんなさい、やっぱり私は子どもなので気になります」
出てしまった言葉はもう元には帰らない。
私は正直な気持ちを湊に告げた。
「ちゃんと付き合ってはなかった。書類上は姉と弟だし。でも、自惚れなんかじゃなくて、ちゃんと気持ちが通じた瞬間はあったんだ」
確かに、あったんだと。
湊がそうつぶやいた瞬間、星が一つ流れた。
それは瞬きするくらい一瞬の出来事で。
祈る時間すら与えずに消えた。
「私も、そう思う」
彩愛さんが湊に向ける感情は、姉としてのものだけではないだろう。
それでも彼女は選んだんだ。
湊との関係を。
家族という形を。
「好きって、大変だね。知らなかった」
好きなだけでは、どうしてダメなんだろう?
どうして、一緒にいられなくなってしまうんだろう?
少し湊のことを思うだけで、泣きたくなるほど苦しいのに、それでもやめられなくて。
私ですらこうなのだ。
湊は何年、そんな気持ちを抱えて、何年彩愛さんとぶつかっているんだろう?
その想いは、私には想像できない。
何も考えず飛び出した言葉を反芻してすぐに後悔する。
こちらを向いた湊と目が合う。
「聞きたい?」
ニヤニヤと意地悪く笑う湊。
「湊が言いたくないことは聞かない。……って言ったけどごめんなさい、やっぱり私は子どもなので気になります」
出てしまった言葉はもう元には帰らない。
私は正直な気持ちを湊に告げた。
「ちゃんと付き合ってはなかった。書類上は姉と弟だし。でも、自惚れなんかじゃなくて、ちゃんと気持ちが通じた瞬間はあったんだ」
確かに、あったんだと。
湊がそうつぶやいた瞬間、星が一つ流れた。
それは瞬きするくらい一瞬の出来事で。
祈る時間すら与えずに消えた。
「私も、そう思う」
彩愛さんが湊に向ける感情は、姉としてのものだけではないだろう。
それでも彼女は選んだんだ。
湊との関係を。
家族という形を。
「好きって、大変だね。知らなかった」
好きなだけでは、どうしてダメなんだろう?
どうして、一緒にいられなくなってしまうんだろう?
少し湊のことを思うだけで、泣きたくなるほど苦しいのに、それでもやめられなくて。
私ですらこうなのだ。
湊は何年、そんな気持ちを抱えて、何年彩愛さんとぶつかっているんだろう?
その想いは、私には想像できない。