泡影の姫
「苦しいね、湊」

それでも私は思うのだ。

この気持ちを教えてくれたのが、湊でよかったって。

「苦しいなら、やめちゃえば?こんなろくでなし」

湊の声に私は首を横に振って、暗闇に目を凝らす。

次に流れ星が流れたら、私は何を祈るだろう?

叶わないと分かっていても、何を祈らずにはいられないだろう?

「それでも、私は君を好きになってよかった」

星空に向かって手を伸ばす。

届かなくても、私は湊を好きになったことだけはきっと後悔しない。

それだけは確かなことだった。
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