泡影の姫
何度も何度も話し合ったのだろう。

そのたびに何度も何度も傷ついたのだろう。

彩愛さんも。

そして湊も。

それでも湊はかたくなで。
タイムリミットの方が先に来てしまったようだ。

大人しく出席することも、嘘の言葉で〝おめでとう〟ということもできない湊は、不器用で、頑固で。

そのくせ罪悪感はあるらしく大人しく殴られたりしていた。

それでも湊は自分の気持ちと向き合いながら。

〝どうすればいいのか〟と。

〝どうしたいのか〟を。

一生懸命自分の中で探しているように、私には見えた。
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