泡影の姫
音信不通だった日々は、突然終わりを告げた。

湊から連絡が来たのは、彩愛さんの結婚式の当日の早朝の事だった。

「私、ずっと前から思っていたことがあるの」

一通り湊の話を聞いたあと、私は静かにそう切り出した。

「多分、湊に初めて会ったときから、思ってた」

「……なんだよ、改まって」

こいつ、何を考えているんだ!?
って思う湊の行動は今にはじまったことではないけれど。

「湊、あんたバカでしょ!?バカ。それも、どうしようもない大バカだわ!!」

久しぶりに顔を合わせた湊に向かって、私は盛大にため息をつく。

「ストレートに酷いな、おい」

苦笑しながらおどけて見せる湊は。

「まぁ、否定も反論もしないけどな♪」

清々しいほど、すっきりした顔で、そう笑った。

「それで?私はどうすればいいの?」

何を言ってもきっと無駄だ。
だってもう湊は決めてしまっている。

「……付き合ってくれるのか?」

それなら、私が取るべき行動は一つだけだ。

「初めから、そのつもりだったよ。湊もそうだから私の所にきたんでしょ?」

最後まで、湊の行動に付き合おう。
そして、見届けるのだ。

私は、何があっても湊の味方でいたいから。
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