泡影の姫
「瑞希!!あ~やっぱりここにいた」

私を探しに来たらしい蛍は、

「クラスいないし、探しちゃった。ケータイくらい持って行ってよね」

呆れた口調でそう言った。

「蛍、探してくれたの?」

「瑞希がいる場所、ここ以外に思いつかなかったしね」

くすくす笑いながら蛍は私のそばまで来ると、

「王子様が待ってるよ?」

と用件を告げる。

「王子様?」

首をかしげ聞き返す私に、

「湊君」

と待ち人の名前を告げる。

そう言えば迎えに来てくれると言っていた。

時計を見れば約束の時間はとうに過ぎている。
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