泡影の姫
それからいくつも季節を重ねた、私は思う。

どうして彼女は王子を刺さなかったんだろう?って。
 

私なら。


もし私だったなら。

世界を取り戻せるのなら。

やり直すことができるなら。

その短剣を深々と愛する人の胸元へ突き刺すんじゃないだろうか?


世界を失った私なら。

そんな風に思ったの。

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