泡影の姫
自然と涙があふれてきて、私は水の中へと飛び込んだ。
今度は泳ぐのではなくただ、プールのど真ん中で泣いた。
最初は啜り泣きだったのに、だんだん声が大きくなって、叫ぶように泣いていた。
本当はずっと泣きたかった。
大会で思ったように記録を出せなかった時よりも、初めて産声を上げ泣いたその時よりも、きっと強く泣いていたに違いない。
泣くのには、泳ぐことと同じくらいにエネルギーが要るのだと、初めて知った。
「おかえり」
「…ただいま。ちょっとすっきりした。ありがとう」
「ヒデェ顔」
「ひどっ」
頭ががんがんと痛むのを感じながら、私は湊の隣に座る。
改めてこの現状を見て、けっこう間抜けな構図だと思った。
夜の学校に不法侵入して、勝手にプールを拝借して、しかもプールサイドには下着姿の男女が二名。
でも誰も気付かない。
水の中と同じで自由だった。
今度は泳ぐのではなくただ、プールのど真ん中で泣いた。
最初は啜り泣きだったのに、だんだん声が大きくなって、叫ぶように泣いていた。
本当はずっと泣きたかった。
大会で思ったように記録を出せなかった時よりも、初めて産声を上げ泣いたその時よりも、きっと強く泣いていたに違いない。
泣くのには、泳ぐことと同じくらいにエネルギーが要るのだと、初めて知った。
「おかえり」
「…ただいま。ちょっとすっきりした。ありがとう」
「ヒデェ顔」
「ひどっ」
頭ががんがんと痛むのを感じながら、私は湊の隣に座る。
改めてこの現状を見て、けっこう間抜けな構図だと思った。
夜の学校に不法侵入して、勝手にプールを拝借して、しかもプールサイドには下着姿の男女が二名。
でも誰も気付かない。
水の中と同じで自由だった。