泡影の姫
3章―ただ、私は君に伝えたかった
髪の色を元に戻した。

別に急に更生したわけじゃないし、

生徒指導の先生を撒くのに疲れたからでもない。

茶髪にしていた髪が傷んだことで金色に近いくらいに脱色された髪が好きになれなかったのと、これから先も何度も染め直さなければいけないことに嫌気がさしただけだ。

ピアスをしなくなってずいぶん経つ。

きっとそのうち穴もふさがってしまうのだろう。
それはそれでかまわないと思っていた。
いちいち着けたり外したりするのは正直面倒だったし、髪や服に引っ掛かって痛い目に何度か遭っていたからだ。

時々タバコが無性に欲しくなった。
けれど新しいライターとタバコを買う気になれなくて結局そのまま諦めている。
湊に没収されたあのライター結構気に入っていたのに、とか。
タバコのおまけに付いていたものだから、もう同じものは手に入らないじゃない、とか。
そんな文句を用意して。
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