泡影の姫
彩愛さんに別れを告げると、半ば無理やり湊を引っぱりながら目的地に向かって歩く。
湊に行き先は継げなかった。
電車に乗った時も、湊がストリートライブをやっていた駅から一駅離れた私のなじみの駅に着いた時も、湊は文句ひとつ言わず、私の手を振り払うこともなく、ただされるがままで。
二人の間に横たわる重たい沈黙に私は唇をかみしめながら堪える。
今、湊は何を思っているんだろう?
そう考えるだけで悲しくなる。
湊の心の中を占めているのは、私ではない。
それが分かっているから
湊が私についてきた理由なんて分かりきっている。
あのままあそこで彩愛さんと対峙していたくなかったから。
きっと、それだけ。
自分から背を向けることなんてできなかった湊に選べた選択肢なんて、私についてくるそれ以外になかった。
それでも、ついてきてくれたことがうれしいなんて。
そう思う自分が悔しい。
湊に行き先は継げなかった。
電車に乗った時も、湊がストリートライブをやっていた駅から一駅離れた私のなじみの駅に着いた時も、湊は文句ひとつ言わず、私の手を振り払うこともなく、ただされるがままで。
二人の間に横たわる重たい沈黙に私は唇をかみしめながら堪える。
今、湊は何を思っているんだろう?
そう考えるだけで悲しくなる。
湊の心の中を占めているのは、私ではない。
それが分かっているから
湊が私についてきた理由なんて分かりきっている。
あのままあそこで彩愛さんと対峙していたくなかったから。
きっと、それだけ。
自分から背を向けることなんてできなかった湊に選べた選択肢なんて、私についてくるそれ以外になかった。
それでも、ついてきてくれたことがうれしいなんて。
そう思う自分が悔しい。