恋愛初心者サッカー
「そんで名前は?」
「……は?」
「だから、アンタの名前。まだ教えてもらってねえんだけど」
「……桑田 梨恵です」
「桑田、ね。りょーかい、多分覚えた」
『多分』かよ!
今度会った時、絶対こいつ名前覚えてないな……。
ちゃんと会話したのは今回が初めてだけど、加持くんの好感度は見事に急降下している。
サッカーしてる加持くんは本当に格好良いけど、性格は最っ悪!!
これだから男子は嫌なんだよ。けっ。
「あ、やべ。悪いけど俺もう帰るわ」
「……あっそ」
こっちはアンタと好き好んで話してた訳じゃないっつーの!
あたしが引き止めてたみたいな言い方やめてよね!
「まー、精々頑張れば。そのままじゃ変わんねーと思うけど」
そう言い残し、加持くんはさっさと帰ってしまった。
…………な、に、あ、れ!!
「……ムカつくーーっ!!!」
──その後あたしの声が響き渡ったのは言うまでもない。