恋愛初心者サッカー
……まずい。
この流れは……非常に、まずい。
「さて、サッカーのメンバー残り一人決めちゃおっか。推薦とかある?」
「はいはーい! 桑田(クワタ)さんが良いと思いまーっす!」
「私もそう思う!」
「……よし。じゃ、桑田さん、頼めるよね?」
…………あああああああああ!!!!!
「ま、待って! あたし本当にサッカー出来ないの! だからお願いだからメンバーに入れないで!!」
「……まったまたー、謙遜しちゃって! 勉強出来て運動も出来る子が何言ってんの? しかもマネじゃん! 得意でしょ?」
「だ、だから……っ」
「みんなー! 桑田さんにやってほしいよねー?」
「「「やってほしーい!!」」」
「ね? ……桑田さん、やってくれるよね……?」
「うぐ…………は、はい……」
「やったね! じゃあ二週間後の球技大会、これでメンバー決定!!」
──パチパチパチパチ
高校一年の三月。
三年生は卒業し、一年最後の行事である球技大会が二週間後に近付いたこの日。
…………あたしは委員長の有無を言わさない笑顔に負けた……