恋愛初心者サッカー


「うぅ……なんでこんな事に……」 



その日の放課後。

あたしは、親友でありマネ仲間の橘 麻希(タチバナ マキ)に嘆いていた。



「仕方ないよ、梨恵(リエ)。勉強も運動も出来る人が、よりにもよって大好きなサッカーだけ出来ないなんて誰も信じてくれないよ……」

「……確かにそうかもしれないけどさー」

「でしょ? ……あっ、もう部活始まっちゃう! 梨恵急いで! 私先行ってるね」

「えっ!? ちょ、麻希ひどい!! 待ってよー!」



それからダッシュして何とか時間に間に合ったものの、部活中に考えてしまうのはやっぱり球技大会の事で。



……どうしよう。

このまま球技大会迎えちゃったら……絶対みんなの足引っ張っちゃうよ……!!



一人悶々としながらマネージャーの仕事をこなしていく。



どうすれば……どうすれば…………。



「り、梨恵……? すごい形相だけど大丈夫……?」

「はっ!! ……ごめん、もっと真面目に仕事しなきゃね!!」



考え込みすぎていつの間にか眉間に皺が寄ってたみたい。



危ない危ない……将来皺の跡が残っても困る。

それに今は部活に集中しなくちゃ!



球技大会の事は無理矢理頭から追い出し、先ほどよりも真剣に手を動かす。



「……私が言ってるのはそういう事じゃなかったんだけどな……」

「え? 何か言った?」

「ううん、何も」



そう言って苦笑する麻希に、あたしははてなを浮かべるしかなかった。

< 3 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop