恋愛初心者サッカー
「うぅ……なんでこんな事に……」
その日の放課後。
あたしは、親友でありマネ仲間の橘 麻希(タチバナ マキ)に嘆いていた。
「仕方ないよ、梨恵(リエ)。勉強も運動も出来る人が、よりにもよって大好きなサッカーだけ出来ないなんて誰も信じてくれないよ……」
「……確かにそうかもしれないけどさー」
「でしょ? ……あっ、もう部活始まっちゃう! 梨恵急いで! 私先行ってるね」
「えっ!? ちょ、麻希ひどい!! 待ってよー!」
それからダッシュして何とか時間に間に合ったものの、部活中に考えてしまうのはやっぱり球技大会の事で。
……どうしよう。
このまま球技大会迎えちゃったら……絶対みんなの足引っ張っちゃうよ……!!
一人悶々としながらマネージャーの仕事をこなしていく。
どうすれば……どうすれば…………。
「り、梨恵……? すごい形相だけど大丈夫……?」
「はっ!! ……ごめん、もっと真面目に仕事しなきゃね!!」
考え込みすぎていつの間にか眉間に皺が寄ってたみたい。
危ない危ない……将来皺の跡が残っても困る。
それに今は部活に集中しなくちゃ!
球技大会の事は無理矢理頭から追い出し、先ほどよりも真剣に手を動かす。
「……私が言ってるのはそういう事じゃなかったんだけどな……」
「え? 何か言った?」
「ううん、何も」
そう言って苦笑する麻希に、あたしははてなを浮かべるしかなかった。