恋愛初心者サッカー
「はー……綺麗なパス通しにボール捌き……格好良すぎる……」
「……やっぱり梨恵ってさぁ、高城先輩の事好きなんじゃないの?」
「違うよっ! 何度言えばわかってくれるのかなー。あたしが好きなのは…………ああっ!!」
その瞬間、今までパスを上手く通していた敬ちゃんがボールを奪われた。
「加持(カジ)くんだ……っ!! ねぇ麻希今の見た!? 加持くんの華麗な動き! 敬ちゃんに全く引けを取ってないし、しかもパスカットするなんて! 格好良いー!!」
「……」
「あっ、しかも見て! 浅田(アサダ)くんにオフサイドギリギリのロングパス! よしっ、そこだっ、行け……っ! ……浅田くんナイッシュー!!」
「…………」
「あの二人本当に上手いよね! 一年生なのにあんなに活躍して……きゃーっ、格好良いーっ!!」
「………………」
「もうっ、何でこんなにサッカーしてる男子って格好良いのかなぁっ」
テンションが上がりきってはしゃぐあたしは、麻希が冷めた目でこちらを見ている事に気が付かないほど紅白戦に夢中だった。
──そう、あたしが好きなのはあくまで……
『サッカーをする男子』なんです。