すれ違う恋の行方
『ちょっと物思いにふけってただけ!テスト終わって気が抜けたみたいでさ』

「美鈴…」


そのとき、秀はチラッとフェンスの外に目をやった。
多分、それで下にいる春樹たちの光景が目に入ったと思う。


『ほんとっ…なんでもないからっ!!』


秀には余計な心配かけさせたくない。
だって、そんなのズルい女だもん。
自分のことを好きって分かってて弱みを見せるのは…。


『うちらも帰ろ?』


そう思って強く見せてるのに…



 グッ…!!

『――っ!!』



秀はそんなあたしを、自分の胸元へと引き寄せた。
< 139 / 526 >

この作品をシェア

pagetop