すれ違う恋の行方
バタンと玄関を閉めると、あたしは無言のまま自分の部屋へと戻った。


一人残された部屋は
かすかに春樹の匂いがした。


『……っ…』


自分のしてしまった行為に
後悔をしているわけじゃないけど
虚しさが広がる。


なんでかな…?
なんで春樹は、皐月さんじゃないとダメなの?

なんであたしじゃいけないの?


「好き」という言葉すら伝えられないこの関係は
正しいかどうかなんてわからなかった。
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