すれ違う恋の行方
「だってお前さ、やけに美鈴の話しない?一日一回は美鈴の名前聞いてるし」
「マジ?」
「うん。だから俺も、美鈴に興味湧いて、紹介してもらったんだから」


春樹ってば、そんなにあたしのこと話してくれてたんだ…。

あたしは少しだけ胸が温かくなって、春樹の想いに期待してしまっていた。


だけど次に春樹から出た言葉は…


「あー…なんつーか、美鈴って恋愛感情とかないから、一緒にいて楽なんだよな」


すごくすごく残酷な言葉だった。



   ―恋愛感情がない―



「ほら、お前と一緒にいるときと同じ感覚っての?だから壁がないんだよ」


あたしはもう、溢れてきそうな涙を必死に堪えていた。
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