ショートケーキの王子様
イラついたりんが冗談で言ったつもりが、
翔斗はその言葉を聞いた途端重たそうな目をカッと開いて、
廊下にまで響きそうな大声を上げた。
「知られたくないんですか?熱のこと」
聞かない方が絶対にいいはずなのに聞いてしまう。
りんの問いに対して、
あんな強気だった翔斗が小さく頷いた。
「どうしてですか?」
しばしの沈黙が流れて翔斗はようやく口を開いた。
「本当の親じゃないんだ……俺の親。だからもう迷惑をかけたくない」
「だから無理してきたんですか?」
翔斗は頷きはしなかったが、
うつむき加減がそうだと言っている。
でもそれだけじゃないはず。