ショートケーキの王子様
ゆっくりと顔を上げたりんの目に写ったのは、
天使のような笑顔の翔斗だった。
えっ。
まさか成功したわけじゃないよね。
でも笑顔ってことは嫌じゃない?
「ごめん。
俺、君みたいな子、興味ないから」
天使から悪魔のような言葉が聞こえた。
いま、いつも優しい藤倉翔斗が……
どんどん混乱していくりんに翔斗は決定的な言葉を放った。
「俺の本性に気づけない奴と付き合う気ないから」
それから翔斗は何事もなかったように去っていった___
隣の花壇のパンジーと一緒に
りんは春風に揺れ続けた。