ショートケーキの王子様



ゆっくり顔をあげると、




「ん!…………………」



急に視界が赤みがかり、



視界いっぱいに目を閉じた翔斗の顔が写る。



まだ春だし雨が降ってきてるから、

寒いはずなのに。



体も心も、温まる。


唇も____



視界が空になったとき、気づいた。



翔斗が自分の赤い傘で人から見られるのを隠してくれていた。




「俺はイヤだからな。


その……"特別な人"でいたい。

お前にとって___」



そういってそっぽを向く。



"特別な人"か。



顔真っ赤だよ。その赤い傘で隠してるつもり?



今度は"恋人"って言って下さいね。

待ってるから。




「い、行くぞ……」



「はい」
< 41 / 43 >

この作品をシェア

pagetop