ショートケーキの王子様
ゆっくり顔をあげると、
「ん!…………………」
急に視界が赤みがかり、
視界いっぱいに目を閉じた翔斗の顔が写る。
まだ春だし雨が降ってきてるから、
寒いはずなのに。
体も心も、温まる。
唇も____
視界が空になったとき、気づいた。
翔斗が自分の赤い傘で人から見られるのを隠してくれていた。
「俺はイヤだからな。
その……"特別な人"でいたい。
お前にとって___」
そういってそっぽを向く。
"特別な人"か。
顔真っ赤だよ。その赤い傘で隠してるつもり?
今度は"恋人"って言って下さいね。
待ってるから。
「い、行くぞ……」
「はい」