毒の石
どうもこの空き教室は生活感がある。
誰かしらここに溜まっているのだろう。
誰が空き教室を溜まり場にしているか、なんてところまでは調べていないから内心焦り気味だ。
「チッ…怠いな…」
そう呟いたときガラッと後ろの扉が開いた。
教卓の中に隠れているあたしからは見えないが多分ここに溜まっている奴だろう。
気配は一つで男。
気配を殺して暫く様子を見ているとすーすーと寝息が聞こえてきた。
「………は?え、なに、ここって仮眠室?っていやいや、んなわけないだろ」
教卓から出て男の方へ行ったあたしは思わず呟いた。
だって目前の男はロッカーの上で寝ていたから。
「こいつ確か秘龍の幹部だよなー…なんで生徒会室のソファじゃなくこんなかったいロッカーなんだ…」
爆睡中と思われる男を前にぼそぼそと独り言を言い続けるあたしは端から見たら変人だ。
「頭痛そー。てかなんでわざわざここ?さっき生徒会室いたじゃん。わけわかんねーなーこいつ」
クックッと笑っているとガシッと腕を捕まれた。
「あ゛」
………油断してたぁぁぁあぁぁ!
やらかしちまったよおい、これじゃもう誤魔化せねぇ!!
「おまえさっきの校門の女…?優等生かと思ったら…」
「あーっと…とりあえずー…離してくれませんかね?」
「…離したら逃げるつもりでしょ。よく見たらピアス開いてるし…偽物優等生なんだ?」
………もうだめだなこりゃ。
諦めよう、うん、そうしよう。
「逃げねぇよ。逃げねぇから離せ馬鹿力」