毒の石


「琥珀は俺が守る。絶対琥珀に悲しい思いはさせないから」



あたしを抱きしめて言う透夜の言葉にあのときのあの人の言葉がフラッシュバックした。




あのときのあの人は血塗れになりながら




『泣くな…俺が、おまえを…守る、から…死な、ない…から…』




あたしの頬に触れ、力なく笑った。




「はっ…ぁ…いや…嫌だ…守るなんて…守られるのは…嫌だっ…」



ガタガタと震えながら透夜を突き飛ばしてしまったあたしは自分の身体を抱きしめ必死に震えを抑えようとする。



「琥珀…?落ち着いて、琥珀!大丈夫だから!琥珀!」



あたしの異変に透夜はもう一度あたしを抱きしめながら背中をさすってくれる。



徐々に落ち着きを取り戻したあたしは透夜を離して顔を見つめ



「透夜…守るなんて、言わないでくれ…」



掠れた声でそう言った。



そんなあたしに辛そうな顔をした透夜は静かに頷いた。



「わかった…もう、言わない…」



そんな透夜に申し訳なくなりながらあたしはお礼を言った。


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