毒の石
「ま、マジか…」
素直にストレートに返事をしてきた透夜に若干頬が引きつる。
「ねぇ、琥珀。ここ、誰も来ないって言ったの覚えてる?」
キスしたときの格好のままだったので至近距離でそう訊かれた。
「あぁ、そういえば言ってたな。それがどうした?」
いきなりの質問だったので首を傾げてそう訊き返すと透夜はフッと妖艶に笑った。
「ここにいればずっと二人きりなんだよ。だから俺のしたいことがなんでもできる」
その言葉にあたしはさぁっと顔から血の気が引いた。
透夜は未だあの妖艶な笑顔のまま。
「ま、待て、透夜、落ち着け、な?」
ゆっくりと近づいてくる顔に慌てて両手を当て止めながらそう言うが透夜の左手に両手を絡め取られてしまった。
だめだだめだ、透夜とスるとか絶対無理!
そんな、そんなこと…
「そんなことしたら止まらなくなる…!」
………ってヤベぇぇぇえぇぇ!!
口に出しちゃったよ!!
「あ、いや、ち、違うから!そうじゃなくて…えっと…」
だ、だめだ、言えば言う程墓穴を掘ってる…。
アワアワしているとあたしを見つめていた透夜が盛大に噴いて
「ぷっ…ははっ…ちょ、琥珀可愛すぎるっ…!」
そう言った。
それから暫く透夜は笑い続けていた。
「…笑いすぎなんだよ馬鹿」
あまりに笑うのでムスッとして言うと透夜にぎゅっと抱きしめられた。
「…んだよそんなことしても許さないからな」