毒の石
なんとか女の子の元へ行こうと身体を動かすが、変わらず鎖は巻きついたまま。
なにもできずにただ光景が過ぎていくのを眺めていると女の子が、真っ白でベッド以外はなにもない部屋で目覚めていた。
女の子の手足には今のあたしと同じように鎖がついている。
ただ、女の子の方には枷がついていた。
万が一鎖が締めつけてしまわないように、ということだろう。
女の子が目覚め、その光景の異常さに身体を震わせているとき、あたしはふと気づいた。
今まで見てきた光景全てを、あたしは知っている、と。
そう思った途端あたしの身体が目前の女の子のように震えだした。
それに合わせるように鎖がガチャガチャと音を立てる。
「い、やだ…いや…こんなもの、見たくない…!」
目を閉じ、必死に耳を塞ごうとするが鎖が虚しく鳴るだけで耳を塞ぐことはできない。
そのとき扉の開く音が聞こえた。
その音に情けなくもあたしの身体はびくりと反応した。
そして音のした方へ顔を向けてしまった。
閉じていた目も開けてしまった。
女の子もあたしと同じようになっているだろう。
「……、飯だ、腹が減ってるだろう?」
「い、や…いら、ない…」
女の子のそんな声が聞こえる。
それと同時にあたしも首を振る。