曇りのち晴れ
「ふぇぁ~…」
朝から本当疲れる……。
「何その変なため息。」
無意識のうちに足が動き、進む先には一人の女の子。
この子だけがちゃんとした友達だわ…。
「はるちゃーん…おはよー…。」
疲れたと言わんばかりに、私の体ははるちゃんこと、実蔵遙音(さねくらはるね)の胸の中へ飛び込んだ……というか、流れていった。
「今日も朝からお疲れだねぇ。」
誰でも構わず作り笑顔を振りまく橘を毎日見ている側としては、はるちゃんはもう天使にしか見えない。
私きっとこの子と出会うためにこの学校入学したんだ…。
ふふっと笑ってから少し困ったような表情でこちらを向く。
「んでも、千尋も大変だねー。橘君の彼女なのにお手伝いさんみたいに扱われてー。」
…だから、付き合ってませんって。
「付き合ってないし、あんな奴論外。」
長い間橘に奴隷扱いされていた為、変な噂がたち、一部の生徒は私と橘は付き合っていると信じこんでしまっている。
クラスの皆や、学校内の女子生徒は、
“あんなチビを輝瑠君が好きになるわけない”
と、噂を全く信じようとしない人が殆どだ。
それでいいんだけど、
だけどさぁ、
ちょっと可哀想だよね、私。
自分でも自分の魅力のなさは実感してるし、身長155cmしかないし、運動音痴だし。
なんか、
自分…………ドンマイ……。