恋月
夏紀
「長野から来ました、椎名夏紀です!よろしくお願いします」
そんなとき、来たのが夏紀だった。

椎名さんも、私を無視するんだろうか。
名前の通り、夏がピッタリの、女の子だった。
私なんかとは、釣り合わないくらい。
素敵なこだった。
「あー、ごっめーん」
そんなことをぼんやりと考えていたら。
私の消ゴムがとんだ。
リオちゃんだ。
もう、既に悔しいとか、悲しいなんかよりも。
くだらない、バカみたいと思う気持ちの方が強くなっていた。
コロコロと転がる消ゴムに視線を送りつつ、面倒くさいなぁ、とおもう。
「はい。」
そういって差し出されたのは私の消ゴムだった。
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