恋月
「やっぱ、矢崎だ。ほら、俺。同じくらすの........」
柳?だっけか?
「ええと、柳?」
「そー、柳奏太。3組な」
「ここでバイトしてるんだ~」
うげー、めんどくせぇ
「おー。........あれ?矢崎、なんかいつもと違う?」
「あー、今日メイクしてるか........」
「そーじゃなくて、なんか、あった?」
「え.......なんで?」
「悲しそうな顔してるから。」
「........!」
「別に嫌なら言わなくていーよ」
柳は視線を落とし、レジをしている。
「ん。お待たせ。」
手渡されたレジ袋には大量のスイーツ。
「ありがと」
会計を済ませ、コンビニを出ようとする。
「あ........やっぱ、待って!矢崎!」
「?」
「俺、もう上がるから........ちょっとだけ、待っててくれない?」
「........うん?」
時計は、4時5分前。
4時あがりなのかな?
「おまたせっ」
10分後くらいに行きを切らせた柳が来た。
「平気だよ。で、何?」
「あ、あのさ........、俺。」
「そーちゃん!そーちゃんじゃない!まー、かわいいこ連れちゃってぇ、彼女?」
「は!?ち、違います!てか、いい加減そーちゃんって呼ばないでくださいよ!?」
慌てふためく柳。
「あらー、青春中だもんねぇ!邪魔して悪かったわねぇ」
ニコニコとおばさんが通りすぎる。
「あ、お嬢ちゃん。そーちゃんは、とってもいいこだからね」
ニッコリ。
おばさんは笑った。
「なにしてんの、もー!」
「そうちゃん?そうちゃんかい?」
「今度はばーちゃんんん」
白髪だらけのお婆さんがやって来た。
手にはおおきな風呂敷を持っている
「あ、あの」
「杉ばぁこれどこまで?」
ヒョイッとおばあさんの荷物を持ち上げる柳。
「ああ、ありがとうねぇ、でもいいのよぉ。お友だち、待たせたら、だめでしょぉ 」
ねぇ?とお婆さんが私の方を向いて笑う。
「い、いえ。私は、そんな。大丈夫です」
「あ、そーじゃん、ごめん!矢崎!」
「あ、ううん。大丈夫!むしろ、お婆さんの荷物もってあげて?」
「そ、そーか?」
「うん!」
「ご、ごめん!」
そういうと、柳はまた荷物を担ぎ上げた。
「ほら、杉ばぁいくぞ」
「すまないねぇ。お嬢ちゃんも、ありがとうねぇ」
お婆さんは本当に優しそうに笑った。
「いえ、そんな」
さっきまでのイライラはどこかへ飛んで。
暖かい気持ちが残る。
あったかい、ところだなぁ。
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