デスゲーム-ある殺人鬼からのPCメール-
アヤは、恐怖のあまり感情が湧かなくなっていた。
感情が目で見てとれないアヤを見て、リコは余計に怯えた。
「…“ソン”、そいつも俺と同じ喧嘩屋だ。」
おもむろに、ショウジが口を開いた。
今まで、一言も喋らなかったショウジが口を開いたので、皆がショウジの方を向いた。
「同じ業界の人間だからな、よく知っている。そいつは、“リン”という妹と組んでいるらしい。」
兄妹の喧嘩屋。業界の中では、名を馳せる程の強者だという。
喧嘩屋は基本として、それぞれの得意技を持っているらしい。
ショウジによれば、その兄妹の喧嘩屋は、2人揃えば最凶と呼ばれている、特技は[超麒麟]という相手の急所を一発で締め上げ、骨を折る技らしい。
「そ、そんな……。」
リコは、相も変わらず顔をこわばらせていた。
そんなリコを見て、「だらしがないわね…」とキャバ嬢が吐き捨てた。
キダが吐き捨てられた言葉を救うかのように、リコに「大丈夫ですよ」と微笑む。
リコは少し落ち着いたのか、うつ向き加減で「平気平気…」と呟いていた。
そんな中、キャバ嬢の動きが目立った。
「あたしの隣、“タチバナ”なのぉっ?!」
キャバ嬢は、落ち着かない様子で隣の名前を凝視した。
話を聞くところによると、“タチバナ”は、ネネと同じスパイ。
しかも、一緒に手を組んでいる仲間なんだそうだ。
「…凄いメンバーがそろったなぁ。」
アヤは一人、感傷に浸った。
こんなに危ない奴等が集まって、何も起きていない、今の状況が恐ろしいくらいだ。