colorful*love
歯も磨き、軽く身だしなみを整え
スクールバッグを肩にかけ


「じゃーママ!!行ってきます!!」


「気をつけてね!!ちゃんと、横断歩道渡るのよ!!知らない人について行っちゃ駄目よ!!それから……」


あたしは、幼稚園児かっ!!


「わかってるって!!じゃーね!!」


通い慣れた通学路
見慣れた景色
いつも通りの一日が、当たり前に始まってゆく。


周りには、私と同じように
学校へと向かう生徒たちで溢れている

ウォークマンで音楽を聴いてる人
教科書を読みながら歩いてる人
恋人同士で手を繋ながら歩いてる人
様々だ。


そんな事を思っていると
後ろから聞こえる、私を呼ぶ声


振り向くと、そこには
朝のエロガッパ。


なんだ…礼央か……


「…お前今、失礼な事思ったろ」


「いや、別に。これっぽっちも」


「嘘くせぇー。」


自然と私の横に並んで歩く礼央
小さい頃は、私の方が背が大きかったのに
いつの間にか、随分と追い抜かされていた


無駄に高い身長

そう言うと

無駄じゃねぇし
お前の全身についた肉のが無駄じゃん


なんて、むかつく事を言ってきやがるのだ。


私にはない、ゴツゴツした体
ポコッと飛び出た喉仏
幼い頃とは大分変わってしまった低い声


私が気づかないうちに
礼央は、男の子から男に変わっていた。


その変化に戸惑いが無いと言えば嘘になる。


でも、これが自然の事なんだ。


いつまでも、子供のままじゃない。


きっと、私も礼央も
自分が気づかない所で
少しずつ、少しずつ大人になっているのだから。

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