裏ヤン先生に愛されます
ケータイをつい落としてしまった。
「あたしの…親が…?」
それはもう、10年会っていない。
小さい頃は、お兄ちゃんとの記憶しかなかった。
センセーに書置きをして、作り終えた料理を机に並べた。
そして家を飛び出した。
息を切らして、あたしの家に着くと。
奏平があたしを抱きしめてきた。
「…親は?」
「あかん…。見たらあかんよ…」
それが悲劇の始まりだった。
あたしの家は葬儀場になっていた。
「え…?」
「今さっき、2人は仕事場で亡くなったそうや」
久しぶりに会えたと思った親は、もうこの世にいなかった。