裏ヤン先生に愛されます


「お母さん…?お父さん…?」

「あいちゃん…、見たら哀しくなるだけや」

「奏平、嘘って言ってよ…ねぇ」

涙腺が壊れたように、涙があふれ出た。

「何で…?嘘だよ…こんなの」

「仕事場が火事になったそうや」

大好きだったのに。

会えなくても、本当に大好きだったんだよ。

ずっと待っていた。

そして、あたしはその時ようやく分かった。

センセーが愛する人を失った瞬間の痛みを。

こんなにも、目の前が真っ暗になるんだね。

「いやぁ!!!やだよ!あたしを置いていかないで!!!」

「置いていけへん!俺がおるやろ!!!ずっと一緒におるから!」

奏平が痛い程に抱きしめてもらって、落ち着いてきた。

「あいちゃん…、大丈夫や。お兄さん今、着いたみたいやで」

振り返ると、絶句したお兄ちゃんがいた。

< 109 / 212 >

この作品をシェア

pagetop