裏ヤン先生に愛されます


「…連絡あったから、外国から帰ってきたけど…。

どういうことだよ…これ」

あたし達の親は、仕事が大好きだった。

だけど夜出勤するまで、忙しかったのは、お兄ちゃんの留学に使うお金が足りなかったからだ。

忙しい毎日で、中々家にも帰らなかった。

だけどお祝いの日には、必ずプレゼントがあった。


「…嘘だろ」

お兄ちゃん、嘘じゃないよ。

これは現実なんだよ…。


奏平、あたしはもう現実を見ていたら苦しいよ。


「あいちゃん、何にも悲しいことはないんや。

親は先に必ず死ぬんや。子供が先に、天へ行くよりかはずっとええんや」

分かっているんだよ。

だけどまだ、認めたくない自分がいた。

この現実を見ないで、まだ夢を見ていたかった。


10年ぶりの再会が、こんなのってありえないよ…。


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