裏ヤン先生に愛されます
「当たり前だろ」
少しだけ、センセーに笑顔が戻った。
あたしは歌い終えると、センセーを連れて川岸に行った。
そこはかつて、両親と最後に行った場所だった。
「ここで昔、奏平も一緒に遊んだんだ。
遊具は今ないけど、昔はあって。
川はもっと澄んでいて。綺麗だった」
何もかも、綺麗だった。
あの思い出と、この場所は。
「…だけど永遠に綺麗なモノなんてない。
どれも綺麗なままじゃないんだ」
「それは違う」
「…え?」
「綺麗なモノはあるだろ。お前の心ン中に」
センセーが空を見上げた。
あたしも見ると、満面の星空が広がっていた。
「…この空だって綺麗だ。綺麗なものはいつかは失う。
それに、永遠には持ってはいれない。
それが綺麗なモノだ」
センセーが言うとおりだった。確かに、綺麗なものは永遠にはない。