裏ヤン先生に愛されます
「大抵の人たちは、親とか帰ってこなくなると…。結構精神的にきついもんね」
「うん…」
「もしかして、虎安クンもそうだったの?」
「…」
黙り込んじゃったからきっと図星だ。
虎安クンの知らない、辛いトコを少しだけ理解できた気がした。
「…何かさ。辛いこととかあって、誰かに頼りたくなって。
寂しさを紛らすために、夜の街を歩いた。
そこで偶然センセーと会った。
それで何か分からないけど、攫って欲しいって思った」
きゅっと顔を疼くめた。
「…センセーはあたしにとって、眩しいくらいの存在で。
正直許嫁と結婚して欲しくない」
こんなの弱音だ。ただ、自分が弱くなってるだけだ。
「…だけど、もうそれも止めたくない。センセーと許嫁さんは、結ばれる存在だったんだから」
「あー、それって元カノの話だよね?」
「うん…」
「俺、親戚の中で桜尾と近い繋がりでよく彼女の話してた。
だけどある日、ぱったりと話さなくなったんだ」