裏ヤン先生に愛されます
✗過去はいつも見えない
奏平の瞳には、嘘だと言っていた。
嘘なんかじゃないんだよ。
「家に帰れば、モノを投げて手をあげて。
夜ご飯は、ほぼご飯のみ。他に食べたいなら、彼の暴力を耐えるの。
そしたらね、その分美味しいもの買ってくれるんだ。
まぁ…その人は、恋人を失ったばかりで辛いあまりに」
あたしは身体のあちらこちらに、未だに残っている。
生々しい傷跡。
センセーが見た時は、背中を見せなかったからよかったけど。
「…本当にあの時、それで死ぬのを避けた。
それで気分を病んでいって、いじめに反抗することも出来なくなった。
そしたら、調子乗ってるって言われた」
あたしが微かに微笑んだけど、上手く笑えない。
「…あいちゃんは、ホンマに馬鹿や」
奏平の瞳には、涙がぼろぼろと零れ落ちていた。