裏ヤン先生に愛されます
類の表情には、嬉しさも何もなかった。
ただケータイを見つめていた。
「…記憶喪失後は、人柄が変わったように内気になっている」
皆が騒然とした。
それはもう、センセーの愛していた人ではなくなっている。
だけどそれでも、広川さんは、センセーの元カノ。
それだけは事実。
「…行こう、何も怖いことなんてないんだから。センセーのためにも」
あたしが言えば、皆は頷いた。
「そうだな」
類が言って、ケータイを閉じた。
今日は妙にリビングが静かになっていた気がした。
その後は、二次会のように皆でぬくぬくと眠った。
奏平は落ち着けないようだったけど、すぐに眠っていた。
あたしは皆が寝た後、洗い物を済ませていた。
「…あいら」
振り返ると、類が俯いて傍にいた。