裏ヤン先生に愛されます


類の表情には、嬉しさも何もなかった。

ただケータイを見つめていた。

「…記憶喪失後は、人柄が変わったように内気になっている」

皆が騒然とした。

それはもう、センセーの愛していた人ではなくなっている。

だけどそれでも、広川さんは、センセーの元カノ。

それだけは事実。

「…行こう、何も怖いことなんてないんだから。センセーのためにも」

あたしが言えば、皆は頷いた。

「そうだな」

類が言って、ケータイを閉じた。

今日は妙にリビングが静かになっていた気がした。

その後は、二次会のように皆でぬくぬくと眠った。

奏平は落ち着けないようだったけど、すぐに眠っていた。

あたしは皆が寝た後、洗い物を済ませていた。

「…あいら」

振り返ると、類が俯いて傍にいた。

< 146 / 212 >

この作品をシェア

pagetop