裏ヤン先生に愛されます
口元に笑みを浮かべて、手を振ってきた。
周りを何度か見て、軽く振っといた。
教室に先生が戻ってきた頃には、放課後だった。
「お前ら、早く帰れよ。俺も忙しいんだし」
先生はかっこよくて、皆が近寄った。
ぼんやりと外を眺め続けていると。
「あいちゃん、帰るで」
奏平が心配げに声をかけてくれた。
あたしが立ち上がって鞄を手に取る。
ふと前を見ると、先生がこっちを見ていた。あたしはそれを無視して、教室を出た。
「…奏平、あたしってマネージャーなれるかな」
「なれるに決まってるやろ!」
くしゃっと頭を撫でられたとき、ほっとした。
「あ、あいら。また明日なぁー」
「バイバイ、真希」
初めて、女子を呼び捨てで呼んだ気がする。
「ええ、友達出来てよかったな」