裏ヤン先生に愛されます
「…?」
「狼クンから聞いたのかわかんないけどさ。
狼クンの家だって荒れていたわ。
彼の家柄、知っといたほうがいいわ」
「…何か、荒れていたのは知ってます」
「ううん、そんなんじゃないくらいに凄いわ」
「どんなのですか?」
広川さんが、一度冷めたお茶を口に含んだ。
あたしも1口飲んだ。
窓の外はお昼時。もう日が見えていた。
「あそこの家は、離婚しつつも、ただ口論をお互いするために家に帰っていたわ。
お互い浮気相手はいたのよ。
それで夫婦喧嘩は絶えなくなって。
狼クンが家に来る回数も多くなった。
…夜道で遊ばれても困るし」
広川さんがため息をつくと、立ち上がった。
「お茶入れ直すね」
「あ、あの!あたし…が淹れます」
「え?」
「それぐらいのことはしたいんで」
すると広川さんが、あっさりとコップを渡してくれた。