裏ヤン先生に愛されます
「…もし、あいらは俺と出会わなかったら。
他のオトコと付き合って、キスとかもしてたんだな」
センセーの声が寂しげに聞こえた。
「セン…じゃなくて。狼さん…」
「今、お前と一緒にいれて。俺馬鹿みてぇだけど幸せだ」
センセーが甘い言葉を言う。
だけど、あたしは薄々気づいている。
この言葉や今までのは全部、死んだ彼女さんに言いたかったことだ。
(後悔…してるんだ)
「…ちょっと彼女のコト話していい?」
あたしの予想は的中していた。
「いいよ」
快く、受け入れた。センセーが苦しんでいるなら。
あたしは笑顔で聞くから。何も嫉妬なんてしないよ。
「…アイツは笑顔が綺麗だった」
センセーの瞳が揺れている。辛い過去を思い出すのは、誰だって嫌だろう。
なのにセンセーが昔を言おうとしている意味が、分からなかった。
「…俺等が出会ったのは、中学時代だった」
そして、ゆっくりとその過去が見えてきた。