裏ヤン先生に愛されます


「まぁーた、女の子ぉ?」

麻綾は、怪訝そうに睨んできた。

オンナ達は、言い返したようだが圧倒的に麻綾が強い。

だから踵を皆返していった。

「…麻綾。ジュース」

「あ。さっき買ったオレンジがあるわ」

「飴」

「購買で売ってたの、あるわよ」

すっと何でも手品のように出してくれる。

その健気さにいつの間にか、救われていた。

家に帰ると、親の荒れた声。

(またか…。母さん、食器投げんのやめろよ)

両親が喧嘩するのも当たり前だ。何せ、俺の兄貴は親のトラブルで死んだようなものだ。

(兄貴が死んで、まだ1年…。あの日は寒かったな)

雪が降りそうな天気だった。親父の投げたガラスが母さんに当たりかけた。

それを兄貴がかばって、死んだ…ってワケだ。

< 75 / 212 >

この作品をシェア

pagetop