裏ヤン先生に愛されます
「まぁーた、女の子ぉ?」
麻綾は、怪訝そうに睨んできた。
オンナ達は、言い返したようだが圧倒的に麻綾が強い。
だから踵を皆返していった。
「…麻綾。ジュース」
「あ。さっき買ったオレンジがあるわ」
「飴」
「購買で売ってたの、あるわよ」
すっと何でも手品のように出してくれる。
その健気さにいつの間にか、救われていた。
家に帰ると、親の荒れた声。
(またか…。母さん、食器投げんのやめろよ)
両親が喧嘩するのも当たり前だ。何せ、俺の兄貴は親のトラブルで死んだようなものだ。
(兄貴が死んで、まだ1年…。あの日は寒かったな)
雪が降りそうな天気だった。親父の投げたガラスが母さんに当たりかけた。
それを兄貴がかばって、死んだ…ってワケだ。