裏ヤン先生に愛されます
「綺麗も何も、自然なんてどーでもいい」
「うわ、あんたの根っこ腐ってるんじゃない?
自然は、綺麗よ。何も手付かずなんですもの。
それに、空なんてそうよ。
誰も触れれないのよ。あんな大空にうちもなりたい」
「大空になりたいとか、馬鹿の発言だろ」
「失礼な人ね。ほら、ケーキ買って帰るわよ」
「ケーキ?」
「小さい頃…。えーと、幼稚園の時にケーキ大好きだったじゃない。
うちの分までとって。
我慢するのもよくないわよ」
「…お前が食べたいだけだろ」
麻綾は、歩き出そうとしていた足を止めた。
「へへ、ばれちゃったかぁ。残念」
その笑顔が、夕暮れに染まってとても儚く見えた。
その後、本当にケーキを買って彼女の家に招いてくれた。
正直、遠慮したかったがあの家には帰りたくなかった。
だから黙っておいた。