裏ヤン先生に愛されます
「狼クン。ケーキ部屋で食べよ」
「おー」
フォークを食器棚からすぐに取り出すと、俺を案内した。
「あ。せっかくだし怖いテレビ見よ。1人じゃ怖くて見れなかったんだよね」
「じゃあ借りるなよ」
「これ、買ったのよ?」
「ホンット、馬鹿」
「馬鹿で結構。ほら。ケーキ」
すっと出してきて、俺はフォークで1口頬張った。
(ケーキなんて、何年振りだろ…?5年?いや、それ以上かもな。
…クリスマスなんて、行事や年明けっつーのもないし)
「いい顔になってるわ。ほら」
鏡を引き出しから出して、わざわざ見せてくれた。
「…馬鹿。美味しいからだろ」
「じゃあ、今度はうちが作ってあげるね」
ほら、その笑顔。いつまでもそんな笑顔をずっと見ていたい。
麻綾の肩にもたれると、くすぐったそうに笑っていた。